法定雇用率引き上げ。でも助成金は減額。何したいの?

令和5年2月2日、厚生労働省の諮問機関、労働政策審議会の分科会は法定雇用率を達成し、さらに多くの

障害者を雇う企業に対する助成金、「障害者雇用報奨金・特例給付金」を令和6年度から減額する案を示し、

3月の審議会で決まる見通しとなっています。

「障害者雇用報奨金・特例給付金」制度は、障害者の法定雇用率を達成した企業や法定雇用率が課せられない

小規模事業所が一定数を超えて障害者を雇用した時に受けることのできる助成金です。

 

従業員が100人を超える企業に課せられる法定雇用率2.3%を超えて障害者を雇用すれば、超過人数1名に

つき支払われる報奨金月額27,000円を厚生労働省の削減案では、超過人数11人目から23,000円に引き下げる

とし、100人以下の小規模事業所には(各月ごとの常用労働者数×4/100の合計数)または72人を超えて雇用する

障害者1名に対し支給される報奨金21,000円を超過36人目から16,000円に減額するとされています。

 

さて、厚生労働省は減額の理由を、「障害者雇用報奨金・特例給付金」が法定雇用率に達しなかった企業が支払う

納付金を原資としているため、障害者雇用が進み納付金が減ったことによるものとしています。

でも、これ、おかしすぎる話だと思いませんか。

障害者雇用を促進するための「障害者雇用報奨金・特例給付金」制度ですよね。なのにより多くの障害者を雇う

と減額されるって、どういうことなんでしょう。

「障害者雇用はそこそこでいいよ。雇いすぎないで。」って言うことでしょうか?

普通逆ですよね。

より多くの障害者を雇用すれば、それだけの設備投資や経費もかかることがあるかもしれません。

それを補う意味での助成金ではないのでしょうか。普通に考えれば、多くの障害者を雇用する努力をしたこと

に対して助成金が支払われ、より多くの障害者を雇用すれば、より多くの助成金が受けられるのが当たり前

ではないでしょうか。法定雇用率を達成し、さらに障害者雇用を進めれば段階的に増額されるのが当たり前

だと思います。

真逆の案ですよね。

 

それに、原資が減ったから減額しますって。こっちもおかしいですよね。

法定雇用率を引き上げれば納付金の入金額も増えることでしょう。増えないで、障害者雇用が進めば、それは素晴

らしいことですが、現実は厳しいと思います。

それだけ、障害者雇用を進めたいなら、法定雇用率未達成企業に対する納付金の引き上げをすればいいのでは

ないでしょうか。その方が障害者雇用は進みますよね。

「法定雇用率」が引き上げられると、報奨金が受けれる人数も減ることになり、さらい雇用を進めれば、また減額。

障害者雇用をするメリットは減る一方です。

こんなことをしていて、障害者雇用が促進されるとは思えんません。

 

もっと先にすることあるでしょって言いたいです。

どこから目線の話なのか分からない制度ばかり作らず、当事者の目線で考えられないのでしょうか。

障害者目線はもちろんですが、障害者を雇用する企業側の目線も必要です。どうすれば障害者が無理なく働ける

のかを先に考えてほしいものです。職場環境を改善するための助成金制度や、障害者雇用のノウハウや支援の仕方

などの情報提供や就労後の障害者や企業をサポートする支援機関の整備など、多くのことが考えられます。

国は「障害者雇用をしないと罰金獲るぞ。」って脅せば何とかするだろうくらいにしか思ってないんでしょうね。

そんなんで、本当の意味での障害者雇用、ダイバーシティの実践につながるとでも思っているのでしょうか。

そこじゃないんだよね。