皆さんは、障害者の「65歳問題」はご存じでしょうか?
65歳未満の障害者は「障害者総合支援法」に基づく障害者サービスを受けることができます。
弊社のような就労系サービスやヘルパーさん、計画相談等、数多くのサービスがあり障害者の生活を支えています。
ここで「65歳問題」が大きくのしかかってきます。
65歳を超えると、「障害者総合支援法」より「介護保険法」が優先されることになっています。
今まで使っていた障害者サービスを介護サービスに変更することを勧められます。
もちろん強制ではありません。介護保険は申告制ですので、介護保険を受けないという選択もできます。
ただし、障害者サービスを受けるには障害者サービスの支給決定が必要になります。
サービスにかかる費用の原則9割が行政から障害福祉サービスを行う企業に支払われます。
この支給を止められてしまうと、障害福祉サービス業者は収入がなくなるためサービスの提供ができなくなります。
障害サービスの支給決定期間が、以前は1年後もしくは2年後の支給決定月の末日まででしたが、
今は誕生月の末日までに変わっています。
65歳の誕生月の末日で支給を止めるためだというのは確実です。
強制ではないけど、「介護保険法」へ変更せざるを得ないということです。
「介護保険法」になると何が変わるのか?ということですが。
同等のサービスへの変更といいますが、障害者と高齢者では違います。
高齢さサービスの業者に障害への知識や理解がどこまであるのか不安です。
同等のサービスといっても法律が違うので、支援の範囲も大きく変わります。今までしてもらっていたことができなくなることも多くあります。
また、金銭的な負担も増します。
「障害者総合支援法」での障害者サービスは、原則1割の負担です。低所得者には免除措置もあり、
所得によって上限額も決まっていますので、1割に満たない事の方が多いかもしれません。
一方「介護保険法」では、所得にかかわらず1割負担です。
同等のサービスを受けれたとしても負担額は増えるのは、ほぼ確実です。
この件に関しては、「高額障害者サービス給付費」という制度ができて幾分是正されています。
でも、よく見れば、対象者も限定され、ごまかし程度のものでしかありません。
でも、少しでも自己負担を減らすためには、この制度を使うしかないわけです。
そのためには、準備が必要です。
しかも、5年以上前から。ですので、冒頭に言ったように60歳の誕生月までに準備を始める必要があるのです。
まずは、この「高額障害者サービス給付費」について
【適用の要件】
■ 65歳を迎える前日までの障害支援区分が2以上
■65歳になる前日までの5年間で、介護保険サービスと同等の内容の障害福祉サービスに関する支給を受けていたこと
■ 障害福祉サービスと同等の内容の介護保険サービスを利用している(訪問介護・通所介護・短期入所など)
■ 介護保険法の保険給付を65歳まで受けてこなかった
■本人とその配偶者が、本人が65歳になる前日までの年度において、生活保護の受給者か市町村民税の非課税者である
になっています。
5年以上の同一のサービスの利用が必要になります。これは連続して5年ということで、
合計してではありません。
途中入院等で支給決定機関に隙間ができていれば対象外です。
しかも、申告制で、償還払いということでかなり手間です。
この制度、2018年4月以降に利用されていたサービスについても償還されますので、申請していない方は、
お住まいの市町村にお問い合わせください。
そのほかにも、5年以上連続して利用している障害者サービスで「介護保険法」に基づく同等のサービスが
ない場合は、継続して利用することが可能な場合もあります。
こちらに関しては、はっきりとした規定がないため、どこまでをいうのかもわからず、また自治体に
よってかなりの差があるようです。
まづは、お住まいの自治体の障害福祉課に相談のうえ、準備を始めてください。
例えば訪問介護ヘルパーさんに来てもらうのも、今はまだ自分で何でもできるとか、親御さんが健在だとかで
必要ないと思っているサービでも、今、使い始めないと本当に必要になる65歳以降になってから使えないとか、
1割負担になることになります。
5年以上先の話ではなく今の話だととらえて、「65歳問題」の準備を始めてください。